本記事では、社会人として最低限身につけておきたい電話応対の基本マナーと、電話対応に臨む際の心構えについて解説します。
ビジネス電話の基本マナーと心構え
ビジネス電話は「会社の顔」としての役割を持つため、個人の印象だけでなく、企業全体の信用にも関わる行為です。しかし、正しい言葉使いや対応方法を知らずに実践してしまうと、クライアントの信頼を損ねてしまう・・・などということも起こり得ます。
まずは適切な言葉遣いや受け答えの知ることが、相手に安心感と信頼感を与える第一歩となります。
電話応対で好印象を与える3つのポイント
ビジネス電話で好印象を残すには、以下の3つが重要です。
① 明るくハキハキした声で対応すること
第一声のトーンがそのまま印象につながります。笑顔を意識すると声も自然に明るくなります。電話の近くに鏡を置いて、自分の笑顔を確認してから電話に出てみるのも良いでしょう。
② 相手の話を丁寧に聞く姿勢
「はい」「かしこまりました」などの相づちを適度に入れ、聞いていることを示しましょう。
③ 適切な敬語を使い、丁寧な言葉を選ぶこと
たとえば「了解しました」はカジュアルすぎるため、「承知いたしました」と言い換えるだけで印象が変わります。
よくあるNG表現と正しい敬語の使い方
電話ではつい普段の言葉遣いが出てしまいがちです。以下に典型的なNG表現例と、正しい言い回しを紹介します。
NG表現 | 正しい表現 |
「了解しました」 | 「承知いたしました」 |
「もしもし、○○です」 | 「お電話ありがとうございます。○○株式会社の○○でございます」 |
「ちょっと待ってください」 | 「少々お待ちいただけますでしょうか」 |
「〜でいいですか?」 | 「〜でよろしいでしょうか?」 |
言葉遣い一つで、失礼・不快と受け取られるリスクを減らすことが出来るので、明確に切り分けましょう。
声のトーン・スピード・間の取り方の基本
電話では「表情」が見えないため、声だけで印象が決まります。以下の3点に注意しましょう。
- トーン:明るく落ち着いた音域がベスト。高すぎても低すぎても聞きづらくなります。
- スピード:緊張すると早口になりがちですが、ゆっくり丁寧に話すことで聞き返しが減ります。
- 間の取り方:相手の発言後は一呼吸おいて応答を。早口でかぶせないよう注意しましょう。早口でかぶせてしまうと、多くの場合、悪い印象を持たれてしまいます。
録音して自分の声を確認してみると新たな発見があるかもしれないので有効な手段です。
よくあるビジネス電話のシーン別例文集
このパートでは、実際のビジネス現場でよく使われる電話の例文を、状況別に紹介します。受け方・かけ方・伝言・クレーム・就活など、多様なシーンに応じたフレーズを習得することで、自信を持って対応できるようになります。
電話の受け方:第一声、社名の名乗り方、取り次ぎ
例文1:第一声と名乗り
「お電話ありがとうございます。○○株式会社、営業部の山田でございます。」
例文2:担当者の取り次ぎ
「少々お待ちいただけますでしょうか。担当の田中におつなぎいたします。」
例文3:担当者が不在の場合
「申し訳ございません、田中は現在席を外しております。戻り次第、折り返しご連絡させていただいてもよろしいでしょうか?」
ポイント:第一声で自分の名前を名乗ることで相手に安心感を与え、不在時も丁寧な対応で信頼を損なわないことが重要です。
電話のかけ方:アポイントの取り方、丁寧な依頼方法
例文1:アポイントを取る場合
「いつもお世話になっております。○○株式会社の山田と申します。ご多忙のところ恐縮ですが、◯◯の件でお時間を頂戴できればとお電話いたしました。」
例文2:用件を丁寧に伝える
「実は、先日お送りした資料についてご確認いただきたく、ご連絡差し上げました。」
ポイント: いきなり本題に入らず、ワンクッション置いた挨拶をすることで、相手の警戒感を和らげられます。
担当者不在時の伝言、折り返し依頼の例文
例文1:伝言を預かる場合
「かしこまりました。田中が戻り次第、お電話いただいた旨を申し伝えます。」
例文2:折り返しをお願いする場合
「恐れ入りますが、田中に折り返しのお電話をいただけますようお伝えいただけますでしょうか。」
例文3:伝言を残す場合
「それでは、恐れ入りますが、田中に『本日の会議について、確認のご連絡をいただきたい』とお伝えください。」
ポイント: 伝言は正確かつ簡潔に。復唱して確認することで、伝達ミスを防ぎます。
クレーム、謝罪対応で使える電話例文
例文1:クレーム対応の第一声
「このたびは、ご不便とご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。」
例文2:状況確認のための回答
「詳細を確認のうえ、あらためてご連絡差し上げますので、少々お時間をいただけますでしょうか。」
例文3:再発防止の伝え方
「今後このようなことがないよう、社内で共有・再発防止に努めてまいります。」
ポイント: 感情的な相手にも落ち着いて丁寧に対応し、非を認めつつも冷静な姿勢を崩さないことが大切です。但し、過剰な謝罪は事態を悪化させる場合もあるので、謝罪する部分とそうでない部分は切り分けた上で対応するようにしましょう。
就活・インターンでの電話マナー&例文
例文1:企業への初回連絡
「お忙しいところ失礼いたします。○○大学の山田と申します。◯月◯日に御社の面接を予定しており、本日は確認のためご連絡いたしました。」
例文2:日程変更のお願い
「恐れ入りますが、急な体調不良により、本日の面接日程の変更をお願いしたくご連絡いたしました。」
ポイント: 自分の立場を明確に名乗り、端的に用件を伝えるのがマナー。声の明るさや丁寧さが信頼感に直結します。
相手やシーン別に変える言い回しのコツ
電話応対では、相手の立場や職種、シーンに応じて言葉遣いや表現を変えることが信頼構築の鍵になります。
ここでは、職種別・相手別に適した話し方のコツや例文を紹介します。
営業・事務・受付など職種別の話し方例
営業職:信頼を得る“提案型”の話し方
営業は「聞く力」と「話す力」のバランスが重要となります。
例:「本件につきましては、御社にとってのメリットを考慮し、◯◯という提案をさせていただきました。」
事務職:正確性と簡潔さを重視した応対
ミスのない案内が信頼を生みます。
例:「◯月◯日に送付いたしました請求書は、内容に誤りがないかご確認いただけましたでしょうか。」
受付・総務職:会社の“顔”としての安心感を重視
第一印象がそのまま企業イメージにつながります。
例:「ようこそお電話いただきました。担当におつなぎいたしますので、少々お待ちくださいませ。」
ポイント: 職種によって期待される役割が異なるため、「何を重視すべきか」を意識することが重要です。
取引先・上司・一般顧客への対応で意識すべき違い
取引先:信頼・丁寧・誠意が基本
例:「いつも大変お世話になっております。ご連絡ありがとうございます。担当の佐藤に申し伝え、すぐに対応いたします。」
上司:簡潔・正確・報連相(報告・連絡・相談)を意識
例:「恐れ入ります。◯◯の件で、◯◯株式会社の◯◯様よりご連絡がありましたので、ご報告申し上げます。」
一般顧客:安心感と共感が最優先
例:「このたびはご不便をおかけし、誠に申し訳ございません。状況を確認し、すぐにご連絡差し上げます。」
ポイント: 相手の立場や感情を想像しながら応対することが、クレーム防止や信頼獲得に直結します。
電話対応マニュアル・テンプレートを活用しよう
電話応対を属人的にせず、社内全体で一定の品質を保つためには、マニュアルやテンプレートの整備が欠かせません。
ここでは、誰でも迷わず対応できるようになるためのマニュアル作成方法や、便利なテンプレート資料の活用方法をご紹介します。
フローチャート式電話マニュアルの活用法
フローチャート形式の電話マニュアルは、「受電→聞き取り→対応→完了」の一連の流れを図式化することで、ビジネス電話の応対に慣れていない新人でも迷わず対応できるのが特徴です。
たとえば以下のような分岐を設けておくと便利です。
①電話が鳴る
↓
②名乗る(「お電話ありがとうございます。○○株式会社の△△でございます。」)
↓
③相手の用件を聞く(用件を聞いたら復唱するようマニュアル化)
↓
④担当者がいる → 取り次ぐ(取り次ぎ方も定型化しておく)
いない → 不在伝達・折り返し対応(折り返し対応も定型化しておく)
ポイント:
- 誰でも同じ品質で対応できる、属人化させないことが重要。
- 対応ミスや聞き漏れを防ぐトレーニングにも活用できる。
特に複数人が電話応対を担当する中小企業やスタートアップにおすすめの形式です。
PDF/Wordで使える無料テンプレート案内
業務でそのまま使える電話応対用テンプレート(PDF/Word形式)は、社内研修や新人教育に最適です。
おすすめのテンプレート例:
- 電話応対の基本マナー一覧表(敬語・NGワード対応)
- シーン別台本テンプレート(受電・発信・不在時など)
- クレーム対応チェックリスト
- 電話応対記録シート(記録用メモテンプレ)
活用方法:
- 社内共有ドライブで管理し、誰でも参照可能にする
- 印刷して机に常備することで咄嗟の対応にも安心
- テンプレをもとに自社用にカスタマイズ可能
補足:
このようなテンプレートと併用してIVR(自動音声応答)システムを導入することで、電話対応の属人化・ミス・クレームリスクを根本から軽減できます。
電話対応の負担を減らすには?IVR(自動音声応答)の活用
ビジネスの現場では「電話対応に時間を取られすぎて本業が進まない」「クレーム対応で心身が疲弊する」といった悩みがよく聞かれます。またLINEのようなメッセージアプリが浸透している影響もあってか、電話恐怖症(電話をかける・受けるのが怖い)というワードも広がりつつあります。
そうした課題を解決する方法として、IVR(自動音声応答)システムの導入が急速に広がっています。特に中小企業やコールセンターにとって、IVRは人手不足の解消・対応品質の均一化・業務効率の向上に効果的です。
IVRとは?ビジネス電話の効率化に欠かせない理由
IVR(Interactive Voice Response)とは、あらかじめ設定された音声ガイダンスに従って、電話の発信者がプッシュ操作で適切な部門や担当者に自動で振り分けられるシステムです。
導入メリット
- オペレーターの対応件数が減り、業務効率化や精神衛生を保つことが出来る
- 間違い電話や不要な対応を大幅に削減することが可能に
- 24時間対応も可能になる(録音・通知機能つき)
たとえばこんな使い方
「商品についてのお問い合わせは1を、請求書については2を押してください」というガイダンスを用意し、該当部門へ自動で転送。必要に応じて録音対応も可能。
クレーム対応や一次受付で活躍するSUBLINE(サブライン)のIVR

特にクレームや無理難題を言ってくる“困った電話”は、現場担当者の精神的負担にも直結します。そこで注目されているのが、050電話アプリSUBLINE(サブライン)です。
SUBLINE(サブライン)の特徴:
- 一部の発信者をブロック・着信制限できる
- IVR(自動音声応答システム)を搭載
- 電話を受ける前に「自動音声」で一次対応が可能
- 必要な通話のみ転送し、現場の負担を軽減
特に「クレームが多く、従業員の離職率が高い」といった業種において、SUBLINE(サブライン)は“心強い防波堤”として機能します。オペレーターが本来成すべき応対に集中し、更なる顧客満足度を追及する上で、IVRの導入は不可避になりつつあります。
SUBLINE導入事例:コスト削減と満足度向上の両立
事例:通販事業者A社のケース
■導入までの経緯
コロナ禍で社員の働き方が変わり、リモートワークや時差出勤などが増えた中で、担当違いの部署への着信や営業電話が増え、本来の業務に集中する必要があるという判断のもと、SUBLINE(サブライン)のIVRを導入。
■導入の決め手
・システムに詳しくない人でも、直感的に操作できる
・フローの修正も即反映可能なので、改善のサイクルがスムーズ
・相場的に見て低価格
■導入の結果
・複数の部署があったが、その体制に合わせて着信をコントロールできるようになった
・システムに詳しくない多くのメンバーでも操作がしやすかった
・1日数十件あった電話対応を大幅に削減出来た
・部署やプロジェクト単位で電話を受けたい時に、適切な分岐設定を即日構築できるように なった
このように、1日を通して着信が多い企業であれば、導入するメリットは大きくなります。
よくある質問(FAQ)
ビジネス電話に関して多くの方が感じる疑問をQ&A形式でまとめました。電話対応に不慣れな方、新入社員、就活生の方も、ここを読むことで安心して対応できるようになります。
ビジネスの電話の最初の一言は?
回答:
「お世話になっております。○○株式会社の△△と申します。」が基本の第一声です。初めての相手には「はじめまして」と加えると丁寧です。
電話をかけるときの例文は?
回答:
「いつもお世話になっております。○○株式会社の△△でございます。本日は◯◯の件でご連絡差し上げました。」と挨拶と用件を明確に述べましょう。
電話かける時、最初になんていう?
回答:
まずは「お忙しいところ失礼いたします」、続けて「○○株式会社の△△と申します。」と名乗るのが一般的です。いきなり本題に入るのは失礼とされます。
ビジネスで電話をかける言い方は?
回答:
以下のような構成が基本です。
①あいさつ(「お世話になっております」)
②名乗り(「○○株式会社の△△です」)
③用件(「本日は〜の件でお電話しました」)
④相手の都合確認(「今お時間よろしいでしょうか?」)
電話対応が苦手な人におすすめの対処法は?
回答:
・テンプレートや例文を手元に用意する
・フローチャート型のマニュアルを活用する
・SUBLINEのIVR(自動音声応答)で一次対応を任せる
緊張を減らすには「準備」と「練習」が一番の特効薬です。録音して練習するのも効果的です。
PROFILE

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株式会社インターパーク/SUBLINEプロジェクトリーダー・マーケティング担当
中途で株式会社インターパークに入社。
仕事で使う050電話アプリSUBLINE-サブライン-のカスタマーサポート担当としてアサイン。
カスタマーサポートを経て、現在は事業計画の立案からマーケティング担当として事業の推進・実行までを担当。
過去、学生時代には2年間の海外留学を経験。