本記事では、IP電話の導入方法を初心者にもわかりやすく解説します。
IP電話とは?固定電話との違いや仕組みをわかりやすく解説
IP電話とは「インターネットプロトコル電話(Internet Protocol Telephone)」の略称で、インターネット回線を利用して音声通話を行う通信サービスです。従来のアナログ電話回線とは異なり、データ通信網を使って音声をパケット化して送信します。
以下では、IP電話の仕組み、従来の固定電話や携帯電話との違い、そしてメリット・デメリットについて具体的に解説します。
IP電話の基本的な仕組みとは
IP電話は、音声をデジタルデータに変換し、インターネット回線を通じて相手に届ける仕組みです。通話は「VoIP(Voice over IP)」という技術によって実現されており、音声をパケットに分割して送信・受信するため、非常に効率的です。
この仕組みにより、物理的な電話線が不要となり、インターネット接続環境さえあれば、パソコンやスマホ、専用電話機からでも通話が可能です。また、データ通信を利用するため、通話料が従来よりも格段に安くなるのが一般的です。
固定電話・携帯電話との違い
項目 | IP電話 | 固定電話 | 携帯電話 |
通信方式 | インターネット(IP) | 電話線(アナログ) | 無線通信(基地局) |
番号帯 | 050, 03(事業者による) | 03, 06など | 090, 080など |
通話品質 | 回線によって変動 | 安定 | 安定 |
コスト | 安価 | 高め | 高め(通信量依存) |
利用環境 | ネット接続必須 | 電話回線必須 | 圏内であればOK |
特にIP電話は、固定電話よりも設備投資が少なく済み、スマートフォンとも親和性が高いため、テレワークや小規模事業者に広く利用されています。
IP電話のメリットとデメリット
【メリット】
- 通話料が安い:国内外問わず低コストで通話可能。
- 導入が簡単:電話線工事が不要で即日開通も可能。
- 多機能:着信転送、録音、IVR、スマホ連携など。
- 場所を選ばない:インターネットさえあればどこでも使える。
【デメリット】
- 停電やネット障害に弱い:通信インフラに依存するため、災害時に使えなくなる可能性がある。
- 通話品質が回線依存:回線が不安定だと音声が途切れることがある。
- 緊急通報に制限:110や119などの緊急通報が利用できない。
IP電話はコストや利便性の面で非常に優れた手段ですが、導入時にはインフラ環境と目的に応じて選定することが重要です。
IP電話導入に必要なものと準備すべき環境
IP電話を導入するためには、単にインターネットがあれば良いというわけではありません。安定した通話品質を確保するためには、適切な機器と環境が必要です。
ここでは、導入に必要な機器や推奨されるネット環境、さらには契約時に注意すべきポイントについて解説します。
準備すべき機器(IP電話機・アダプター・ソフトフォン)
IP電話を利用するためには、以下のいずれかの機器が必要になります。
1. IP電話機(VoIP電話機)
LANケーブルで直接ルーターに接続して使う専用電話機です。操作性は通常の固定電話と同じで、法人利用によく採用されます。
2. ATA(アナログ電話アダプター)
既存のアナログ電話機をIP電話として使うための変換機器です。低コストで導入したい場合に適しています。
3. ソフトフォン(PC・スマホアプリ)
パソコンやスマホにインストールして使うIP電話アプリです。テレワークや個人事業主に最適で、最も導入が手軽です。
安定したインターネット環境の要件
IP電話はインターネット回線の安定性に大きく左右されます。
以下の条件を満たしていれば、問題なく利用できます。
- 通信速度:上り・下りともに5Mbps以上推奨
- 回線の種類:光回線やCATVなど安定性の高い固定回線が理想
- 有線接続推奨:Wi-FiよりもLANケーブル接続が安定
また、ルーターの設定によっては音声が届かない「SIP制限」などのトラブルも起こるため、ポート開放やQoS(通話優先)設定ができるルーターを選ぶと安心です。
プロバイダー・電話番号の契約について
IP電話の利用には、電話番号を提供するIP電話事業者(プロバイダー)との契約が必要です。主な選択肢は以下の通りです。
- 050番号を利用する無料・格安サービス(例:楽天モバイル、フュージョンIP-Phoneなど)
- 03や06などの地域番号を利用できる有料ビジネス向けサービス(例:SUBLINEなど)
法人の場合は、ビジネス機能(IVR、通話録音など)が豊富な有料プランを選ぶことで、業務効率が大きく向上します。
IP電話導入のステップ|個人・法人別の流れ
IP電話の導入は、目的(個人か法人か)によって多少異なりますが、基本的なステップは共通しています。
ここでは、個人・法人それぞれの導入フローと、導入時に注意すべきポイントをわかりやすく解説します。
個人で導入する場合の手順
個人でIP電話を導入する場合は、初期コストを抑えつつ、スマートフォンや自宅PCで気軽に使えることが重視されます。導入手順は以下の通りです。
- IP電話サービスを選定(例:楽天モバイル、フュージョンIP-Phone SMART)
- 050番号の取得と契約申込
- 専用アプリ(ソフトフォン)をインストール
- スマホやPCで初期設定(SIP情報などの入力)
- 通話テスト・動作確認を実施
特に050番号のサービスは、契約から開通までオンラインで完結するため、最短即日で利用開始できます。
法人で導入する場合の手順
法人利用では、業務用機能(内線化、通話録音、IVRなど)を重視した本格的な導入が求められます。導入の流れは以下の通りです。
- 目的に応じたIP電話サービスの選定(例:SUBLINE)
- 03番号や複数番号、通話録音などの要件を整理
- 事業者との打ち合わせ・見積取得
- 機器の手配(IP電話機やアダプター)とネットワーク環境の確認
- 番号の割当・SIP設定・内線設定など初期構築
- 社内テストとユーザー教育
- 運用開始・通話ログや履歴の確認体制構築
クラウド型のIP電話を使えば、スマホでの運用や社員の追加・削除も柔軟に行えるため、スモールスタートから大規模展開まで対応可能です。
番号取得・ポータビリティの注意点
IP電話では、既存の電話番号を引き継ぎたい場合、「番号ポータビリティ(LNP)」が重要になります。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 050番号からの乗り換えは原則不可
- 03や06などの市外局番を引き継ぐ場合は、NTT回線の解約タイミングに注意
- ポータビリティ対応事業者を選ぶ必要がある
また、地域外で市外局番の新規取得を希望する場合、法律上認められていない場合があるため、導入前に確認が必要です。
開通後の確認とテスト方法
導入後は、すぐに実運用を始めるのではなく、必ず以下の項目についてテストを行いましょう。
- 発着信テスト(外線・内線)
- 通話品質の確認(遅延・途切れなど)
- 録音・履歴・転送など各種機能の動作確認
- スマホ連携(外出先での着信や発信)
トラブル発生時にはネットワーク設定や端末設定の見直しが必要なため、マニュアルやサポート体制が整った事業者を選ぶと安心です。
IP電話のセキュリティ対策|リスクと防止策
IP電話はインターネットを利用する通信手段であるため、利便性が高い一方で、セキュリティリスクも無視できません。
ここでは、実際に起こりうるリスクと、その対策方法について具体的に解説します。
考えられるリスク(盗聴・不正利用など)
IP電話では、以下のようなセキュリティリスクが考えられます。
1. 盗聴のリスク
通話データがインターネットを通じて送受信されるため、暗号化されていない場合、第三者に傍受される可能性があります。
2. SIP情報の不正取得
SIPアカウント情報が漏洩すると、第三者によって無断発信(不正利用)され、高額な通話料金が発生する恐れがあります。
3. DDoS攻撃・サービス妨害
IP電話サーバーが外部から攻撃を受けると、通話不能や音声遅延といったサービス障害が起きる可能性があります。
4. 乗っ取り・なりすまし通話
ログイン情報が盗まれることで、なりすまし発信が行われ、企業の信用を損ねる事態に発展するケースもあります。
導入時にできるセキュリティ対策(VPN・暗号化・ファイアウォール)
こうしたリスクを回避するために、以下のような対策が推奨されます。
1. 通話の暗号化(SIP TLS / SRTP)
通話データを暗号化することで、通信内容の盗聴を防ぎます。多くのIP電話サービスでは、TLSやSRTPといった暗号化技術を採用しています。
2. VPNの活用
社外からの接続を行う際にはVPN経由で通信を行うことで、第三者の介入を防ぐことができます。特にスマホアプリを利用する場合に有効です。
3. ファイアウォールの設定
外部からの不正アクセスを防ぐために、IP電話用ポートの制限やIP制限を設けることが重要です。高機能なルーターを導入することで実現可能です。
4. 複雑なパスワード設定・定期的な変更
SIPアカウントや管理画面へのアクセスは、推測されにくいパスワードを設定し、定期的に変更することが基本です。
5. 信頼できるサービス事業者の選定
セキュリティ対策がしっかりしたサービスを選ぶことで、管理の手間を減らしつつ安心して利用できます。
ビジネスにおけるIP電話導入のメリット
IP電話は、コスト削減だけでなく業務効率の向上にも貢献するツールです。特に近年は、テレワークやリモートワークの普及により、従来の固定電話では対応できないニーズに応える手段として注目されています。
ここでは、ビジネスにおける具体的な活用メリットについて詳しく解説します。
テレワーク対応とスマホ連携
IP電話の大きな魅力のひとつが、どこでも会社番号に着信・発信できる点です。専用アプリをスマートフォンにインストールすれば、外出先でもオフィスの番号(例:03や050)で通話が可能になります。
この機能により、
- テレワーク中の社員が顧客対応をスムーズに行える
- 外出先でも着信を逃さない
- 個人の携帯番号を使わずに済む(プライバシー保護)
といった利点があります。業務とプライベートを分けられるため、働き方改革にも寄与します。
通話録音・履歴管理・IVRの活用例
多くのIP電話サービスでは、以下のような業務支援機能が搭載されています。
- 通話録音:トラブル時のエビデンスや、顧客対応の品質向上に役立つ
- 通話履歴管理:対応状況の可視化や報告書作成がスムーズに
- IVR(自動音声応答):部署振り分けや営業時間外対応が可能に
こうした機能は、コールセンターだけでなく、少人数の事務所や個人事業にも有効です。たとえば、IVRを導入することで「営業時間外は自動応答」「営業部とサポート部に振り分け」といったスマートな電話対応が可能になります。
コスト削減と社内コミュニケーションの効率化
IP電話は、通話料や設備コストの削減だけでなく、業務全体の効率化にもつながります。
コスト面のメリット
- 通話料が大幅に削減(特に長距離・国際通話)
- 電話線工事やPBX設置が不要(クラウド型なら初期費用も安価)
- スマホやPCでも利用可能なため、専用機器が不要なケースも
コミュニケーション面のメリット
- 社員間の内線通話が無料
- 在宅勤務者との通話もワンクリックで可能
- チャットやCRMと連携することで業務が一元化できる
たとえば、SUBLINE(サブライン)のようなサービスでは、IVR(自動音声応答)、着信拒否、通話履歴管理といった機能を1つのクラウド電話に集約し、コールセンターのような運用をスマートに、そして低コストで実現できます。
法人・個人向けおすすめIP電話サービス
IP電話を導入する際、どのサービスを選ぶかは非常に重要です。機能や料金、サポート体制はサービスごとに大きく異なるため、用途に応じて適切な選択をする必要があります。
ここでは、法人・個人どちらにもおすすめできるおすすめのIP電話サービスをご紹介します。
050電話アプリSUBLINE(サブライン)とは?

SUBLINE(サブライン)は、お手持ちのスマホにアプリをインストールするだけで、プライベート番号の他にもう一つ、仕事用の050電話番号が持てるサービスです。
個人スマホにアプリを入れるだけなので、端末を新たに支給する必要がありません。
外出先・テレワークで電話業務がある人、社用携帯を持つのがメンドウな人、社用携帯のコストを削減したい人に最適です。
1名から100名以上まで企業規模問わず、導入しやすいのも特徴です。
詳しくは SUBLINE公式サイト をご覧ください。
クラウドPBXとの違いとは?どちらを選ぶべきか
IP電話とクラウドPBXは、どちらもインターネットを活用した電話システムですが、その役割や機能には明確な違いがあります。導入目的によって、どちらを選ぶべきか判断することが大切です。
ここでは、両者の違いと選び方の基準についてわかりやすく整理します。
IP電話とクラウドPBXの機能的な違い
比較項目 | IP電話 | クラウドPBX |
主な目的 | 個人や小規模向けの通話手段 | 企業全体の通話管理と内線構築 |
管理者機能 | ほぼなし~簡易的 | 管理画面で全通話・ユーザーを一元管理 |
内線通話 | 基本的に不可 | 拠点や部署間で内線化が可能 |
録音・通話ログ | サービスによる(制限あり) | 高度なログ管理・録音が可能 |
拡張性 | 限定的 | 柔軟なスケーリングが可能 |
導入難易度 | 低い(アプリや電話機で完結) | 高い(設計・構築・運用が必要) |
クラウドPBXは、「会社全体の電話インフラ」として機能するため、部署ごとの着信振り分け、代表番号の管理、転送ルールなどを細かく設計できます。
一方、IP電話はあくまで「1番号ごとの通話手段」として機能し、個人や小規模ビジネス向きです。
どちらが自社・自分に向いているか判断基準
導入目的や組織規模に応じて、適切な選択肢は変わります。以下に判断の目安をまとめます。
IP電話が向いているケース
- 個人事業主・フリーランスで050や03番号を持ちたい
- 外出先でもスマホで通話を受けたい
- IVRや録音などの基本機能があれば十分
- コストと手軽さを最重視したい
例:SUBLINE、フュージョンIP-Phone SMARTなど
クラウドPBXが向いているケース
- 拠点間通話や内線を構築したい
- 複数の社員や部署で番号を共有したい
- コールセンターのように通話管理・録音・モニタリングが必要
- 柔軟なスケールや運用管理体制を構築したい
例:クラウドPBX機能を備えた大手サービス(INNOVERA、MOT/TELなど)
なお、SUBLINEのように「クラウドPBXとIP電話の両方の特徴を併せ持つサービス」もあり、スモールスタートからスムーズに拡張できる選択肢として非常に有効です。
よくある質問(FAQ)
IP電話の導入を検討している方からよく寄せられる質問をまとめました。導入前に疑問を解消し、スムーズな導入につなげましょう。
IP電話を使うには何が必要ですか?
基本的に、インターネット環境・IP電話サービスとの契約・通話に使うデバイス(スマホ・PC・IP電話機など)の3つがあれば利用できます。法人利用の場合は、電話機やアダプター、管理用の設定も必要になります。
IP電話を導入する費用はいくらですか?
個人向けの050番号であれば、月額0円〜500円程度から利用可能です。
法人向けの03番号対応サービスでは、初期費用5,000円〜・月額1,000円〜が相場です。録音やIVRなどの追加機能が必要な場合は、別途オプション費用が発生します。
IP電話はいつサービス終了ですか?
現時点(2025年現在)では、IP電話サービスの終了予定はなく、むしろクラウドPBXやモバイル連携の進化によって、導入事例は増加しています。ただし、一部の古い050サービスでは終了したものもあるため、信頼できるサービスを選ぶことが重要です。
IP電話の加入権は必要ですか?
いいえ、加入権は不要です。NTT加入電話のような「施設設置負担金」や「加入権」は必要ありません。初期費用や契約だけで、すぐに番号を取得し利用を開始できます。
スマホでIP電話を使うことはできますか?
はい、できます。多くのIP電話サービスは、スマートフォン用アプリ(ソフトフォン)を提供しており、03番号や050番号をスマホでそのまま使えます。たとえば、SUBLINEでは外出先でもスマホに着信・発信が可能です。
通常の電話と音質に違いはありますか?
通信環境に左右されますが、安定したネット回線を利用すれば、固定電話と同等かそれ以上の音質で通話可能です。Wi-Fiやモバイル回線でも利用できますが、業務利用では有線LAN接続を推奨します。


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PROFILE

-
株式会社インターパーク/SUBLINEプロジェクトリーダー・マーケティング担当
中途で株式会社インターパークに入社。
仕事で使う050電話アプリSUBLINE-サブライン-のカスタマーサポート担当としてアサイン。
カスタマーサポートを経て、現在は事業計画の立案からマーケティング担当として事業の推進・実行までを担当。
過去、学生時代には2年間の海外留学を経験。
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