NTT東西はISDN(INSネット)のサービスを2028年12月31日に完全終了することを公式発表しました。
本記事では、デジタル通信モードの終了時期、影響を受ける業種、代替手段まで詳しく解説します。
ISDNサービスはいつ終了する?最新スケジュールまとめ
ISDN(INSネット)は、1990年代以降、日本の固定通信を支えてきたデジタル回線サービスです。しかし、通信のIP化が進む中で、NTT東日本・西日本はINSネットの提供を段階的に終了することを発表しました。
ここでは、最新の公式情報に基づき、終了時期やスケジュールを整理します。
デジタル通信モードの終了時期(2024年以降の段階的終了)

ISDNの「デジタル通信モード(データ通信)」は、FAXやPOSレジ、EDI(電子データ交換)などで利用されてきた通信方式です。この機能は2024年1月以降、地域ごとに順次提供が終了しています。NTT東日本・西日本ともに、2024年から段階的に廃止が進行中で、今後利用できる地域は急速に減少します。
NTTはデータ通信向けに一時的な「補完サービス」を用意していますが、これは従来の通信品質や機能を完全に保証するものではありません。特にEDIなど業務システムでISDN回線を利用している企業は、早期にIP通信(インターネットVPNや閉域網など)への移行計画を立てる必要があります。
通話モードの終了は2028年12月31日
音声通話を行う「通話モード」は、2028年12月31日をもってサービス提供を終了します。 それまでの間は通話モードとして利用可能ですが、終了日以降はINSネット回線自体が廃止されるため、電話機やPBX(構内交換機)を含めた通信設備の入れ替えが必要となります。
NTTは終了までの移行措置として「IP網対応の補完サービス」を提供していますが、これは恒久的なものではなく、通話料金体系や品質も従来と異なる点があります。したがって、2027年頃までに代替の通信環境へ移行を完了しておくのが現実的と考えられます。
新規受付・移転受付の終了日
ISDN(INSネット)の新規契約および移転手続きは、2024年8月31日をもって終了しました。また、設備変更や増設も一部制限されており、既存契約者でも柔軟な運用が難しくなっています。
今後は、修理対応や部品調達が順次終了していくため、「まだ使えるから大丈夫」と放置すると、故障時に復旧できないリスクが高まります。そのため、現在利用中の企業・自治体も、早めに光回線やIP電話などへの切り替えを進めることが推奨されています。
引用:
【公式】NTT東日本|INSネットをご利用の事業者さまへ|固定電話(加入電話・INSネット)のIP網移行|個人のお客さま
ISDNが終了する理由とは?
ISDNの終了は、単なるサービス縮小ではなく、日本の通信インフラ全体が「IP通信」へと移行していることを示しています。
ここでは、その背景にある3つの主要な理由を解説します。
利用者減少と固定電話の衰退
ISDNは登場当初、高速かつ安定した通信を実現する先進的な技術として広く普及しました。
しかし、ブロードバンド回線やスマートフォン、クラウドサービスの普及により、固定回線を利用した通信の需要は急速に減少。個人・法人を問わず、ISDN契約数はピーク時の10分の1以下にまで落ち込んでいます。
NTT東西や総務省のデータでも、2020年代に入って以降は新規契約がほぼ停止状態であり、利用者の多くは業務システムやFAXなど、既存機器を継続利用している一部法人に限られています。
その結果、サービスを維持するためのコストと実際の利用規模が釣り合わない状況となっていました。
通信インフラのIP化による影響
日本では、固定電話網を支えてきたPSTN(公衆交換電話網)の老朽化が進み、国の方針として通信インフラ全体をIPネットワーク(インターネットプロトコル)に移行する取り組みが進められています。
ISDNはこのPSTNを前提に設計された技術のため、IP網へ完全移行する中で互換性を保つことが難しくなりました。
IP通信の普及により、データ通信・遠隔業務・クラウドPBXといった柔軟な通信手段が主流となり、ISDNはその役割を終えたといえます。
設備老朽化と保守コストの問題
ISDN回線を構成する通信設備や交換機の多くは、製造から20年以上が経過しており、部品の入手や保守人員の確保が難しくなっています。
NTTによると、旧PSTN設備を転用して運用しているため、今後は維持よりもIP網への統合の方が経済的かつ現実的と判断されています。
特に地方や古い設備では、故障時の修理対応に時間がかかるリスクが指摘されています。
こうした背景から、通信品質を確保しつつ新しい通信方式へ移行することが、ユーザーと事業者の双方にとって最適な選択とされています。
ISDN終了で影響を受けるのは誰?
ISDNサービスの終了は、単なる通信方式の変更ではなく、業務やシステムに深く関わる変化です。
特に、ISDNを基盤としてデータ通信や警備システムを運用してきた法人・自治体では、対応が遅れると通信障害や業務支障につながるおそれがあります。
ここでは、影響を受けやすい利用者層を整理します。
レガシー機器を使う企業(FAX、EDI、POS、警備など)
最も影響が大きいのは、ISDNをデータ通信に利用している業務システムです。
たとえば次のような分野では、ISDN回線を前提とした通信が依然として多く残っています。
- ・企業間の受発注に使われるEDI(電子データ交換)
- ・小売店や飲食店で使用されるPOSレジのデータ送信
- ・建設・製造業でのリモート監視システム
- ・オフィスや工場の防犯・警備システム
- ・医療機関や自治体で利用されるFAX通信
これらの多くは「専用線に近い安定通信」を理由にISDNを採用してきましたが、今後はひかり回線やIP回線への移行が求められます。
一部メーカーでは、ISDN依存機器の製造・販売をすでに終了しており、交換タイミングを逃すと代替機の確保が難しくなる場合もあります。
中小企業・自治体が注意すべき点
中小企業や自治体では、通信環境の更新が後回しになりやすく、「気づけばISDNを使っていた」というケースが少なくありません。
特に自治体・医療機関・金融機関では、業務上の要件からFAXやEDI通信を継続利用しているケースが多く、影響が大きいとされています。
移行を進める際は、通信相手(取引先・上位機関)との接続方式の整合性を必ず確認することが重要です。
片方のみがIP化しても通信が成立しないケースがあるため、移行タイミングの調整と事前テストが不可欠です。
また、ネットワーク構成の変更にはセキュリティ設定や認証方式の再設計が伴うため、専門業者への相談が推奨されます。
一般家庭への影響はある?
個人宅でISDNを利用している世帯はすでにごく少数ですが、ホームテレホンやFAX付き電話、警備機器をISDN回線に接続している場合は影響を受ける可能性があります。
在宅勤務や小規模事業を行う家庭でも、FAXや警備システムがISDNを利用している例があります。
一般家庭の場合は、光回線を利用した「ひかり電話」や「IP電話」へ切り替えることで大部分の機能を代替可能です。
通話料金が安くなるケースも多く、通信品質も向上するため、早めの移行が安心です。
終了後はどうなる?通話・データ通信の変化
ISDNの終了は、単に回線が使えなくなるという話ではなく、通信の仕組みそのものがIP化へ移行することを意味します。特に「音声通話」と「データ通信」では、終了時期や影響範囲が異なります。
ここでは、それぞれの違いと、終了後に利用できる補完策について整理します。
「通話モード」は2028年まで利用可能
ISDNの「通話モード」は、2028年12月31日まで継続利用可能です。
これは一般電話として音声通話を行うためのモードで、「INSネット64」や「INSネット1500」などのプランに含まれています。
ただし、2028年末をもってINSネット回線自体が終了するため、それ以降は利用できなくなります。
NTTは順次、回線設備や保守体制の縮小を進めており、終了時期が近づくにつれて修理対応や機器交換が難しくなることが予想されます。
そのため、期限を待たずに光回線やIP電話へ移行する準備を早めに始めることが現実的です。
「データ通信モード」は段階的終了に注意
ISDNをデータ通信に利用している企業では、すでに終了が始まっています。
デジタル通信モードは2024年1月から地域ごとに順次停止が進められており、EDI(電子データ交換)・POSレジ・遠隔監視・警備などの用途で使用している場合、通信ができなくなる可能性があります。
また、データ通信モードは通話モードと異なり、IP網への切り替え後も完全な互換性は保証されません。
IP通信へ移行する際には、通信プロトコルの変換・暗号化方式・端末認証の再設定など、システム全体の調整が必要になるケースがあります。
補完サービス(INSネット データ通信補完策)の概要
NTT東西では、ISDN終了に向けて「INSネット データ通信補完策」を提供しています。
これは、既存のISDNデータ通信をIPネットワーク経由で一時的に継続利用できる暫定措置です。ただし、この補完策には以下のような制約があります。
- ・対応できる通信機器・システムが限定される
- ・通信速度や応答時間が従来より劣る場合がある
- ・将来的にはINSネット終了とともに提供終了予定
つまり、あくまで移行期間中の「つなぎ」サービスであり、長期的な運用には向いていません。
補完策の提供期間はINSネット終了(2028年12月末)に合わせて段階的に終了予定であり、それまでに確実にIP通信環境へ移行を完了することが求められます。
ISDNの代替手段は?何に切り替えればいいのか?
ISDN終了後にどの通信手段を選ぶかは、業務の安定性とコストに直結します。
現在では、ISDNと同等以上の品質を備えた通信技術が複数存在し、用途に応じた選択が可能です。
ここでは代表的な2つの代替手段を紹介します。
光回線(フレッツ光・ひかり電話)を使った通信
中小企業や個人事業者を中心に、もっとも一般的な移行先が光回線(フレッツ光)+ひかり電話です。
光回線はISDNより圧倒的に高速で、データ通信と音声通話を1本の回線でまかなえるのが特徴です。
「ひかり電話」では、固定電話番号を引き継げる場合が多く、ISDNで使っていたFAX機や電話機も、変換アダプタを介して利用できるケースがあります。
ただし、一部の旧式FAXや特殊通信機器では動作保証がされていない場合もあります。
IP電話への移行
法人の主な移行先として注目されているのが、IP電話です。
IP電話はインターネット回線を利用して音声通話を行う方式で、同一エリア内であれば現在の電話番号をそのまま引き継げる場合もあります。
通話コストの削減や、回線数の柔軟な増減が可能なのが利点です。また、物理的に固定機を設置せずに拠点間通話やテレワーク対応を実現できます。初期費用を抑えつつ、拡張や管理も容易です。
代表的な導入メリット
- ・回線や機器の保守が不要
- ・社内外の通話をスマホやPCで一元管理可能
- ・テレワークや多拠点対応が容易
※ただし、通信品質はインターネット回線の安定性に依存するため、導入前にネットワーク環境を確認することが推奨されます。
移行後の通信品質と安定性の比較
企業が懸念するのは、「ISDN並みの安定性が確保できるか」という点です。
近年のIP通信は技術が成熟しており、通信品質ではISDNを上回るケースが多いとされています。
| 通信方式 | 通信品質 | 特徴 |
| ISDN | 安定性高いが低速(最大128kbps) | 固定回線ベースのレガシー方式 |
| 光回線(ひかり電話) | 高速・安定(最大1Gbps) | 低コスト・高品質な代替手段 |
| IP電話 | ネットワーク依存 | 柔軟な運用が可能、拡張性が高い |
ISDN終了までにやるべき準備・手順
ISDNサービスの終了は2028年と聞くとまだ先に感じますが、データ通信モードはすでに一部地域で終了が進行中です。
機器や契約の見直しを後回しにすると、移行準備が間に合わなくなる恐れがあります。
ここでは、混乱なく移行を進めるための4つのステップを整理します。
現在の利用状況を把握する(契約・機器の確認)
まず行うべきは、「自社や自宅のどこでISDNを使っているのか」を正確に把握することです。
契約内容・請求書・設備図面などを確認し、次の項目を洗い出しましょう。
- ・利用している回線の種類(INSネット64、INSネット1500など)
- ・使用中の通信機器(FAX、PBX、POS、警備装置など)
- ・通信相手(取引先、サーバー、監視センターなど)
- ・契約名義・拠点情報(移転・名義変更があれば要注意)
この段階で、「使っていないのに契約が残っている」ケースがよく見つかります。
不要な回線を整理するだけでも、コスト削減や管理効率化につながります。
移行先の検討とコスト試算
利用状況を整理したら、次は移行先の選定です。
業務用途ならIP電話、個人・小規模事業なら光回線(ひかり電話)など、目的に応じて最適な方式を選びましょう。
移行にかかる主な費用項目
- ・新回線・新機器の初期導入費用
- ・通信工事・設定費用
- ・システム改修・検証費用
- ・月額基本料金(回線・クラウドサービス等)
特にEDIやPOSなど基幹システムと連携している場合、システムベンダーとの調整が不可欠です。
また、自治体や通信事業者によっては、IT導入補助金や設備更新支援を利用できる場合もあります(通信機器単体では対象外のケースもあり)。
よくある質問(FAQ)
ISDNの終了に関しては、多くのユーザーが似たような疑問や不安を抱えています。
ここでは、よくある質問を6つ取り上げ、専門家の視点でわかりやすく解説します。
ISDNサービスが終了したら電話は使えなくなりますか?
はい、2028年12月31日をもって通話モードも含めて完全に終了するため、そのままでは電話が使えなくなります。
ただし、光回線を使った「ひかり電話」や「IP電話」などに切り替えることで、今までとほぼ同じ感覚で通話を続けることができます。
NTTや通信事業者では、番号を引き継いで移行できるケースも多く、早期相談がおすすめです。
デジタル通信モードと通話モードの違いは?
- 通話モード:通常の音声通話に利用するモード。2028年まで利用可能。
- デジタル通信モード:FAXやPOS、EDIなどデータ通信を行うモード。すでに2024年以降、地域ごとに終了が始まっています。
特に業務システムでデジタル通信モードを使っている場合は、通信不能になる前にIP化対応を急ぐ必要があります。
ISDNの代替としておすすめの通信サービスは?
主な代替手段は以下の3つです。
- 光回線+ひかり電話(小規模事業・家庭向け)
- クラウドPBXおよびIP電話(中小〜大企業向け)
- IP-VPN・LTE通信(遠隔監視・IoT用途向け)
いずれもISDNより高速で安定しており、コスト削減にもつながります。
導入時は既存機器との互換性を確認しておくと安心です。
2028年終了後も補完サービスは利用できますか?
いいえ。補完モード(データ通信補完サービス)は、2028年12月31日までの一時的措置として提供されています。
それ以降は利用できなくなるため、最終期限までに必ず代替手段へ移行する必要があります。
補完モードは“猶予期間”と考え、2027年ごろまでに完全移行を完了させるのが理想です。
ISDNを使っているかどうかを確認する方法は?
確認方法は次の2つです。
- 請求書・契約書を確認する:「INSネット64」「INSネット1500」と記載があればISDN契約です。
- 通信機器を確認する:TA(ターミナルアダプタ)やISDN対応モデムがある場合はISDN回線を利用しています。
自分では判断が難しい場合、通信事業者や機器メーカーに問い合わせると確実です。
切り替え工事はどのくらいの期間がかかる?
移行内容によりますが、一般家庭であれば1〜2週間前後、法人でシステム連携がある場合は1〜3か月が目安です。
また、移行テスト期間を含めると、全体で3〜6か月かかるケースもあります。
年度末など繁忙期は工事が集中するため、早めにスケジュールを確保しておくことをおすすめします。

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PROFILE

-
株式会社インターパーク/SUBLINEプロジェクトリーダー・マーケティング担当
中途で株式会社インターパークに入社。
仕事で使う050電話アプリSUBLINE-サブライン-のカスタマーサポート担当としてアサイン。
カスタマーサポートを経て、現在は事業計画の立案からマーケティング担当として事業の推進・実行までを担当。
過去、学生時代には2年間の海外留学を経験。
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