訪日外国人観光客の数は、2023年以降急速に回復傾向にあり、コロナ前の水準に近づきつつあります。特に人気観光地や都市部の商業施設では、再び多くの外国人旅行者の姿が見られるようになりました。こうした流れを受けて、アパレル業界においても「インバウンド対策」に注目が集まっています。
外国人観光客のニーズを的確に捉え、店舗のサービスや情報発信を最適化することで、売上向上やブランディング強化につなげることができます。

本記事では、アパレル業界が取り組むべきインバウンド対策の概要から、具体的な施策、さらに最新のDXツールの活用方法までを詳しく解説していきます。

インバウンドとは？

「インバウンド」とは、海外から日本を訪れる旅行者、すなわち訪日外国人を対象とした観光やビジネス、ショッピングなどの経済活動全般を指す言葉です。近年、日本政府は観光立国を推進しており、多くの外国人が日本を訪れるようになりました。観光庁のデータによると、2019年には3,188万人の訪日外国人が日本を訪れ、約4.8兆円もの消費が行われました。これは、アパレル業界にとっても大きなビジネスチャンスと言えます。
また、アパレル業界においては、訪日外国人が日本の店舗で衣料品やファッション雑貨を購入することを指し、その購買行動を促進するためのマーケティングや接客、店舗設計、言語対応、決済環境などがインバウンド対策の対象になります。
インバウンド市場は、コロナ禍の影響で一時的に落ち込みましたが、現在は回復傾向にあり、再び注目を集めています。アパレル業界がこの流れを活かすためには、適切な対策を講じ、外国人観光客にとって利用しやすい環境を整えることが不可欠です。

引用：「観光立国推進基本計画」を閣議決定（観光庁）

インバウンド対策が重要な理由

訪日外国人の回復傾向が続くなかで、アパレル業界もインバウンド対策を講じることが不可欠になっています。従来の国内顧客に加え、外国人観光客や在日外国人への対応を強化することで、売上拡大だけでなく、中長期的なブランド価値の向上にもつながります。
以下では、インバウンド対策がアパレル業界にとって重要な理由を4つの観点から解説します。

アフターコロナでインバウンド客増加が期待される

新型コロナウイルスの影響で一時的に大幅に減少していた訪日外国人観光客ですが、各国の水際対策緩和に伴い、2023年以降徐々に回復傾向にあります。日本政府も観光立国を掲げ、地方への誘致や消費促進策を進めており、今後さらに訪日客数が増えることが予想されます。
特にアジア圏を中心とする近隣諸国からの旅行者は、日本のアパレル製品への関心が高く、「本場の日本で買い物をしたい」というニーズも強いです。このような購買意欲の高い層に対応するためには、早い段階からインバウンド対策を進めておくことが、競合他社よりも一歩先を行く鍵となります。

国内での集客には限界がある

国内市場は少子高齢化や人口減少の影響を受け、特に地方都市や中小規模の商圏では顧客数の伸びが頭打ちとなっているのが現状です。そのため、今後は「内需拡大」だけでなく「外需の取り込み」、すなわち訪日外国人による消費をいかに自店に引き込むかが重要な戦略になります。
インバウンド市場は、購買力が高く、単価の高い商品にも積極的に手を出す傾向があるため、上手に取り込むことで、少ない来店者数でも高い売上を実現できる可能性を持っています。国内市場だけに頼らない、持続可能なビジネスモデル構築の一助となるでしょう。

ほかの店舗と差別化ができる

インバウンド対策に注力することは、競合店との差別化にもつながります。たとえば、英語や中国語に対応したPOPや接客、外国人旅行者が好む商品ラインナップの工夫、免税対応などを取り入れることで、「外国人に優しい店」というイメージを確立することができます。
また、SNSを通じた情報発信や口コミ拡散も期待でき、旅行者のあいだで“話題の店”として認知されやすくなります。他店との差別化を図るうえで、インバウンド対応は強力な武器となるのです。

在日外国人へのサービス向上が図れる

インバウンド対策は、訪日外国人観光客だけでなく、在日外国人に対しても有効です。日本には留学生や就労者、永住者など多くの外国人が暮らしており、その数は年々増加しています。こうした人々は日常的に買い物をする中で、言語の壁や文化の違いに不便を感じていることが少なくありません。
言語対応やキャッシュレス決済の整備、多言語サポートの体制を整えることで、在日外国人のリピーター獲得にもつながり、安定した集客基盤を築くことが可能になります。

アパレル業界における具体的なインバウンド対策

インバウンド対策と一口に言っても、アパレル業界で実施できる施策は多岐にわたります。単に商品を販売するだけでなく、訪日外国人がストレスなく買い物できる環境を整えることが重要です。
ここでは、実際に店舗運営に取り入れやすい具体的な対策を紹介します。

SNSやECサイトの活用

訪日外国人は旅行前にSNSや検索エンジンを使って情報収集をする傾向があります。そのため、Instagram、TikTok、WeChat、Facebookなど多言語対応のSNSを活用し、商品の魅力や店舗情報を発信することが重要です。
さらに、ECサイトを通じたオンライン購入の選択肢を提供すれば、旅行中に買いそびれた商品を帰国後に購入してもらえる可能性もあります。特に、海外発送対応や多言語カスタマーサポートの整備は、ファンの獲得と長期的な収益化につながります。

ホームページや看板の外国語対応

店舗の看板やフロア案内、ポップアップ広告、ホームページなどに外国語表示を追加することは、外国人観光客にとって大きな安心材料となります。英語、中国語、韓国語など主要言語に対応することで、店舗に入りやすくなり、購入率の向上も期待できます。
特に、商品説明や素材、サイズ表記などを多言語で案内することは、アパレル業界において信頼獲得に直結します。言語対応がしっかりしている店舗は「外国人ウェルカム」という印象を与えやすく、選ばれる理由になります。

予約や問い合わせの外国語対応

近年では、来店予約や在庫確認、商品問い合わせを事前に行う外国人観光客も増えています。これに対応するためには、電話・メール・チャットなどでの多言語対応が求められます。
Googleフォームやチャットボットを活用した簡易予約システム、LINEやWhatsAppなど外国人に馴染みのあるツールでの対応を検討するのも有効です。スムーズな事前対応ができれば、訪問時の満足度が高まり、口コミ評価の向上にもつながります。

インバウンド客向けのWi-Fi対応

訪日観光客にとって、無料Wi-Fiの提供は非常に重要なサービスのひとつです。通信費を抑えるため、多くの旅行者がWi-Fiを頼りに情報収集やSNS投稿をしています。
店内に無料Wi-Fiを設置し、簡単にアクセスできるようにすることで、滞在時間の延長やSNSによる拡散効果も期待できます。店舗のSNSアカウントと連携したログイン導線を設けることで、フォロワー獲得の導線にもなります。

キャッシュレス決済を導入し支払い方法の多様化

外国人観光客にとって、日本の現金文化はハードルが高いと感じられることがあります。QRコード決済、クレジットカード、海外のモバイル決済サービス（Alipay、WeChat Payなど）への対応は、購買意欲を妨げないためにも非常に重要です。
多様な決済手段を整備することで、「支払いが不便だから買わない」といった機会損失を防ぐことができます。決済手段の選択肢が豊富な店舗は、旅行者にとって「安心して買い物できる店」として高く評価されるでしょう。

アパレル業界のインバウンド対策にはDXツールの活用がおすすめ

訪日外国人対応を強化するうえで、人的対応だけに頼るのには限界があります。特に言語対応や営業時間外の問い合わせ対応など、業務効率の向上を図るにはDX（デジタルトランスフォーメーション）ツールの活用が不可欠です。
ここでは、アパレル業界のインバウンド対応に役立つDXツールの中でも特に有効な「050電話アプリSUBLINE（サブライン）」のIVR（自動音声応答システム）についてご紹介します。

050電話アプリSUBLINE（サブライン）のIVRとは？

SUBLINE（サブライン）は、050電話番号を利用したビジネス向けの電話アプリで、IVR（自動音声応答システム）を搭載しています。
端末や専用機器の購入は不要で、最短即日で利用可能です。
自動音声ガイダンスはテキストを入力するだけで簡単に作成できますので、自社にあったアナウンスを流すことができます。
多言語対応機能を備えており、英語を含む外国語での問い合わせにも対応可能です。

まとめ

本記事では、インバウンド対策の必要性やその背景、そして実際にアパレル店舗で活用できる具体策について解説しました。SNSや多言語対応、キャッシュレス決済など、すぐに取り入れられる施策も多く、DXツールの導入によって業務効率化も図れます。
特に「SUBLINE（サブライン）」のようなツールは、外国人対応の負担を下げ、機会損失の防止に効果的です。人手不足が叫ばれる今こそ、デジタルの力を借りて、多様な顧客に対応できる柔軟な店舗運営が求められています。
今後のアパレルビジネスの成長のためにも、今日から始められるインバウンド対策を一歩ずつ進めていきましょう。

PROFILE

星 拓登

株式会社インターパーク／SUBLINEプロジェクトリーダー・マーケティング担当
中途で株式会社インターパークに入社。
仕事で使う050電話アプリSUBLINE-サブライン-のカスタマーサポート担当としてアサイン。
カスタマーサポートを経て、現在は事業計画の立案からマーケティング担当として事業の推進・実行までを担当。
過去、学生時代には2年間の海外留学を経験。

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